円頂閣ドオム)” の例文
幕はまるで円頂閣ドオムのような、ただ一つの窓を残して、この獰猛どうもうな灰色の蜘蛛を真昼の青空から遮断しゃだんしてしまった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あけの窻にニコライ堂の円頂閣ドオムが見え看護婦は白し尿の瓶持てり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しかしその円頂閣ドオムの窓の前には、影のごとくせた母蜘蛛が、寂しそうに独りうずくまっていた。のみならずそれはいつまで経っても、脚一つ動かす気色けしきさえなかった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ニコライ堂円頂閣ドオム青さび雲低しこの重圧は夜にか持ち越す
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
仔蜘蛛はすぐに円頂閣ドオムの窓をくぐって、日の光と風との通っている、庚申薔薇こうしんばらの枝へなだれ出した。彼等のある一団は炎暑を重く支えている薔薇の葉の上にひしめき合った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ニコライ堂の内秘ないひより、薄闇うすぐら円頂閣ドオムを越えて
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)