されば女という言葉だけで、いわゆる外面如菩薩げめんにょぼさつ内心如夜叉ないしんにょやしゃという思想を含ませることは、世界を通じて広く行われることである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
女人地獄使にょにんじごくし永断佛種子ようだんぶちしゅし外面似菩薩げめんじぼさち内心如夜叉ないしんにょやしゃ、———こう書いてある所を見ると、たとい心は夜叉のようでも、おもては美しいに相違ない。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
べっぴんびいきのおまえさんは、さぞ耳が痛いことでござんしょうが、とかく美人と申すしろものが、外面如菩薩げめんにょぼさつ内心如夜叉ないしんにょやしゃというあのまがいものさ。
内心如夜叉ないしんにょやしゃどころか、夜叉神の面をかぶって悪事を働きやがる。貴様は一体どこの納所なっしょ坊主だ。素直に云え」
半七捕物帳:65 夜叉神堂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ピストルでもあったなら、躊躇ちゅうちょせずドカンドカンと射殺してしまいたい気持であった。犬は、私にそのような、外面如菩薩げめんにょぼさつ内心如夜叉ないしんにょやしゃ的の奸佞かんねいの害心があるとも知らず、どこまでもついてくる。