兼齋けんさい)” の例文
隱居の葉賀井兼齋けんさい、大肌脱になつて、自分の皺腹に短刀を突つ立てんとするのを、娘の毬代まりよが、必死となつてすがり付いてゐるのです。
兼齋けんさいといふのは七十を越した枯木のやうな老人で、何處が惡いといふのでもないやうですが、燃えきつた蝋燭らふそく見たいに、次第に生命の灯の消えるのを待つやうな哀れな姿でした。