其面そのかお)” の例文
私は其面そのかおじっと視ていた。すると、何時いつの間にか母がそばへ来ていて、泣声で、「息を引取る迄ね、お前に逢いたがりなすってね……」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何心なく其面そのかお瞻上みあげて尾をる所を、思いも寄らぬ太い棍棒がブンと風をって来て……と思うと、又胸が一杯になる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私は黙って其面そのかおを視たばかりで、又そっと車の行った方角を振向いて見ると、最う車は先の横町を曲ったと見えて、此方こちらを向いて来る沢山の子供の顔が見えるばかりだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)