入札いれふだ)” の例文
「あんなに、かくしてばかりいて、ホ、ホ、ホ、ホ……。そのお金のない人が、よく大楽寺の入札いれふだにぽんと百両も」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは近頃の好題目、口に出して言うては皆々遠慮がある故に、入札いれふだとしてみたらいかがでござるな、各自の見るところを少しの忌憚きたんなく紙へ書いて、名前を
周、——この儀については伊達一門、一家宿老ども熟談し、入札いれふだのうえ決定したものでございます。
『じゃあ、どこかその辺で、待っておいでなさい。もう、顔もそろったし、入札いれふだはすぐ済むから』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「伊達家横領のためだ」と綱宗が云った、「おれを逼塞ひっそくさせたのも、伊達家を横領するためだった、さればこそ、跡目相続のときに入札いれふだなどということが行われたではないか」
入札いれふだにして、売りとばすといやあ、お立会の旦那がたの中には、さだめしこちとらを、無情な奴、畜生同様と、おさげすみもござんしょうが、これには仔細のあることで……
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御継嗣入札いれふだのとき、老臣誓詞のとき、いちどとして意見の一致したことがなかった
「女を、あした馬市で、入札いれふだにして、売りとばすということを、いいふらすんで」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私がここへ参上するには、つかむだけのものをつかんだからのことです、御継嗣を誰にするかという入札いれふだのことも、その入札のなかに、一ノ関さまの御名のあったことも存じています」