兄哥あにや)” の例文
やっこ、黙って漕げ、何ともするもんじゃねえッて、此家こん兄哥あにやが、いわっしゃるで、どうするもんか。おらかがんでな、そっとその火を見てやった。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何も済まねえッてこたアありやしねえだ。よう、あねさん、お前に寒かったり冷たかったり、辛い思いさ、さらせめえと思うだから、兄哥あにやがそうして働くだ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平胡坐ひらあぐらでちょっと磁石さ見さしつけえ、此家ここ兄哥あにやが、やっこてめえ漕げ、といわしったから、何の気もつかねえで、船で達者なのは、おらばかりだ、おっとまかせ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)