兄哥連あにいれん)” の例文
それで道庵が兄哥連あにいれん狩催かりもよおして馬鹿囃子ばかばやしをはじめると、大尽の方では絶世の美人を集めたり、朝鮮の芝居を打ったりして人気を取るのであります。
よく兄哥連あにいれんに背負われて行ったものだ。喧嘩の仕方なども、祖父から聞いて知っている。然し祖父が足を洗って隠居してからも連中が祖父のところに出入するのを、父は実にいやがったものだ。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
ぞろぞろ行交う派手な兄哥連あにいれんが何だか俺にさからうような気がする。ささくれ立った気持で急ぎながら俺は思わず、一層のこと闇屋にでもなったろか、と声出してつぶやいていた。そして俺は愕然とした。
(新字新仮名) / 梅崎春生(著)