作者わたし)” の例文
しかし作者わたしはしばらくの間物語の筋を横へらせ、青木原あおきがはらで陶器師と別れた高坂甚太郎の身の上について少しく説明しようと思う。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし作者わたしは万事につけて几帳面なことが非常に好きで、この点では元来ロシア人であるにも拘らず、ドイツ人のように綿密でありたいと希うのである。
しかし作者わたしはその事に関して描写の筆を進める前に、土屋庄三郎その人について少しく説明しようと思う。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これまでに彼はずいぶんいろんな人間にも会い、恐らく作者わたしや読者諸子が決して見ることのないような人間にも会って来たが、どうもこんな人間に出会うのは初めてだった。
いでや作者わたしは次回においては、この猪太郎の身の上について描写の筆を進めると共に、全然別種の方面に当たって別様の事件を湧き起こさせ、波瀾重畳幾変転はらんちょうじょういくへんてん
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さて我等の主人公たちが通り過ぎて行った事務室の光景を一つ描写しなければなるまいが、こういうお役所のこととなると、どうもおっかなくって、作者わたしなどは手も足も出なくなるのだ。
しかし作者わたしだけは知っている。——知っていればこそこの物語を書きつづることが出来るのである。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
で、その勾坂甚内が二度目に江戸へはいって来た時から作者わたしの物語は展開するのである。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その物語は既に以前に、九郎右衛門に代って此作者わたしが、大略書き綴った筈である。……
赤格子九郎右衛門 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
作者わたしはその書に憑據し、この大盗の生い立ちを左に一通り述べることにしよう。
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それからの事は頼山陽が、作者わたしのような悪文でなく非常な名文で書いている。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)