伊之いの)” の例文
「裏庭の木戸が手薄ですから、先生は、あそこを見てやっておくんなさい。伊之いの、勘八、半次、源三なんかがそこにいる筈ですから」
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こんなものを身につけて置くと、氣味が惡う御座います。それに、伊之いのさんも、侍は嫌だと申します」
何うして伊之いのさんは音信たよりをしてくれぬことか、それにつけてお母様っかさまもあんまりな、お雛様を送って下すったのは嬉しいが、私を斯ういう窮屈なうちへ預け、もう生涯の人に逢えぬことか、あゝなさけない