仙郷せんきょう)” の例文
同時に、この仙郷せんきょうのような三浦半島の漁村へも、そうした世界の新しい暗いうしおが遠慮なく打ち寄せて来ていることを思わせた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「やれやれ、まるで仙郷せんきょうへでも来たような気がする」とフランボーが云った。師父しふブラウンは舟の中にすわったまま真直になって十字をきった。
見おろす目の下に、旧道いの坂本さかもと宿しゅくが、きらきらと緑の美しい六月の光を吸って、音無しの村のように静まっている。時の観念から遊離した仙郷せんきょうとでもいたい眺めだった。
浴槽 (新字新仮名) / 大坪砂男(著)
ほのかな鶏の声が聞こえて、漁師たちの住む家々の屋根からは静かに立ちのぼる煙を見るような仙郷せんきょうだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こんな仙郷せんきょうが木曾にあるかと思うようです。またおりを見てお邪魔にあがりますよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)