他所行よそゆ)” の例文
田鶴子さんはと見返ると唯さえ澄まし屋さんが殊更凛として他所行よそゆきに構えていた。そこで僕も肩を聳やかして頻りに威儀を正した。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
作衛は使いにやっているからいない筈だが、おはるは居るのにと思いながら私は他所行よそゆきの草履をしまいこんだ。
入梅 (新字新仮名) / 久坂葉子(著)
妻の他所行よそゆき姿が目の前に浮ぶ。そして昔の懐かしいかおりまでが僕の鼻をつく。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「これから片付けまへう。」と、揉み手をしながら、他所行よそゆきの聲を出した。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
お茶のなかへあれをすこし爪鑢つめやすりで削り落していただきますと、どんなにスチイムの利いてる応接間サロンで何時間他所行よそゆきの言葉を使っていても、決して小鼻の横に脂肪の浮くということはございません。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)