今代きんだい)” の例文
今代きんだいの難波文学はわづかに吾妻の花に反応する仇なる面影に過ぎざれども、徳川氏の初代に於て大に気焔を吐きたるものは、彼にてありし。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
悠々ゆうゆうとか従容しょうようとか云う字はかくがあって意味のない言葉になってしまう。この点において今代きんだいの人は探偵的である。泥棒的である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
兵器の進歩と、戦争の惨状を軽減せんとする企てとは、明らかにこれ今代きんだいに於ける国際関係中、一の大なる矛盾である。両者到底相容あいいるべからざるものである。
世界平和の趨勢 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
開化の高潮度に達せる今代きんだいにおいて二個の個性が普通以上に親密の程度をもって連結され得べき理由のあるべきはずがない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
バロンと名乗るものの城を構えほりめぐらして、人をほふり天におごれる昔に帰れ。今代きんだいの話しではない。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)