両頬りょうきょう)” の例文
旧字:兩頬
草はもとより去年のしもを持ち越したまま立枯たちがれの姿であるが、薄く溶けた雲をとおして真上から射し込む日影にし返されて、両頬りょうきょうのほてるばかりに暖かい。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時も唯「フム」と鼻を鳴らした而已のみで更に取合わぬゆえ、生理学上の美人はさなくとも罅壊えみわれそうな両頬りょうきょうをいとど膨脹ふくらして、ツンとして二階を降りる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)