丑女うしじょ)” の例文
丑女うしじょが死んだというしらせが来た。彼女は郷里の父の家に前後十五年近く勤めた老婢ろうひである。自分の高等学校在学中に初めて奉公に来て、当時から病弱であった母を助けて一家の庶務を処理した。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
丑女うしじょはその氷柱をのせたトタン張りの箱の中にとけてたまった水を小皿こざらでしゃくっては飲んでいた。そんなものを飲んではいけないと言って制したが、聞かないで何杯となくしゃくっては飲んでいた。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)