また、三斎公様の御恩にこたえて、不惜身命ふしゃくしんみょうの御奉公をなさる覚悟でもなければならぬこと、お救い米のような、六人一括ひとからげの扶持はそれゆえおうけいたされぬ。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
源右衛門(同じく合掌)『法の為めには不惜身命ふしゃくしんみょういましめ。やわか功徳の無いことがあろうか。生き残るも、死に往くもあなた任せ。心も軽き一葉船、風のまにまに散って行こうぞ』
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
重なる歓びを、家中の諸士にもわかつため——また戦風陣雨の幾春秋をきょうまで各〻の不惜身命ふしゃくしんみょうしるしともふりかざして来た陣旗をまつるために、一日、大振舞いをほどこした。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それしか真っ向に考えてない鉄甲のような、不惜身命ふしゃくしんみょうになりきって進軍していた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)