不幸ふしあわ)” の例文
「お母さんさえ生きていたら、私はこんな女にもならず、ほかの妹弟きょうだいたちも、あんな不幸ふしあわせにはならなかったろうに……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、わたしの言ったことばをよく考えてごらん。おまえはわたしといれば不幸ふしあわせなことはないよ」と老人ろうじんは言った。
不幸ふしあわせな男と思って、もすこしお話し下さいませんか、もすこし……
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そうだ、そうなればぼくは天にのぼって、上から母さんや、クリスチーナを見下ろすことができる。神様にたのんで妹を不幸ふしあわせにしないようにしてもらうこともできる。
普通の境遇きょうぐうの人なら、なんでもない、実父の顔をひと目見るということが、生涯最大な希望になるほど不幸ふしあわせな身には、恋にも、同じような恵まれない宿命をもっていた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしも不幸ふしあわせな人間であったよ