不入いらず)” の例文
多年とざされていた芝居国の“不入いらず”の扉をこうしてともかくもこじ明けたのは松居君の力である。つづいてその扉をあけたのは山崎紫紅しこう君である。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
妻子飢ゆればストライキに不入いらず
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
現に大坂城内には不入いらずの間があって、そこには淀君の霊が生けるがごとくに棲んでいるなどと伝えられている。
小坂部伝説 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その時代に最も多く行なわれた化け物屋敷の不入いらずの間や、ねたみ深い女の生霊いきりょうや、執念深い男の死霊や、そうしたたぐいの陰惨な幽怪な伝説をたくさんに知っていた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その当時のわたしたちは何事かの機会をみつけて局外者の脚本を劇場内に送り込んで“不入いらず”の扉をこじ明けようと苦心している最中であったから、なんでも構わない
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたしの叔父は江戸の末期に生れたので、その時代に最も多く行はれた化物屋敷の不入いらずの間や、嫉み深い女の生靈いきりやうや、執念深い男の死靈や、さうしたたぐひの陰慘な幽怪な傳説を澤山たくさんに知つてゐた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)