七瀬ななせ)” の例文
七瀬ななせの水車小屋に隠匿されてあった不法煙草葉を調査、摘発中、ふいに持病の胃ケイレンをおこして以来、病臥中でありまして……
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ルウヴルの美術館でリユブラン夫人の描いた自畫像の前に立つても其抱いて居る娘が、自分の六歳になる娘の七瀬ななせに似て居るので思はず目が潤む。
巴里にて (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
明日香あすか七瀬ななせよどに住む鳥も心あれこそ波立てざらめ」(巻七・一三六六)は、寄スル譬喩歌ひゆかだから、此歌とは違うが、譬喩は譬喩らしくいいところがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
七瀬ななせは、肌をぞっとさせ、頭の中へ不吉なことや、恐ろしい空想を、ちらっとさせた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
横柄で、弱い者いじめを専門にしていた、好色漢の「鬼」が、或る日の夕暮どき、七瀬ななせの水車小屋の中で、倒れていた。高門たかかど武十ぶじゅう旦那が、虫の息で、這いだして来る「鬼」に出逢った。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「あんた、七瀬ななせの水車のところを通って、帰りんさるかね?」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)