一石栃いちこくとち)” の例文
峠の上から一石栃いちこくとち(俗に一石)を経て妻籠までの間は、大きな谷の入り口に当たり、木曾路でも深い森林の中の街道筋である。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一石栃いちこくとちにある白木しらきの番所から、上松あげまつの陣屋の辺へかけて、諸役人の目の光らない日は一日もないことを知っていた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一石栃いちこくとちまで帰って行くと、そこは妻籠と馬籠の宿境にも近い。歩き遅れた半蔵らは連れの伊之助や小左衛門なぞに追いついて、峠の峰まで帰って行った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
木曾山森林保護の目的で尾州藩から見張りのために置いてある役人の駐在所は一石栃いちこくとち(略称、一石)にある。いわゆる白木の番所だ。番所の屋根から立ちのぼる煙も沢深いところだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)