“むつら”の漢字の書き方と例文
カタカナ:ムツラ
語句割合
六浦100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
早や鎌倉もからっぽとはつゆさとらず、なお、むなしい死守を六浦むつら街道や武蔵口などのふせぎにかけて、かなしいつわものごうにおめいていたのであった。
登子と侍女たちの四、五人は、あの鎌倉陥落の前夜、紀ノ小市丸の知らせで、北条守時の戦死を知り、やつの隠れ穴から山づたいに六浦むつらの方へさまよい出て、武州金沢の称名寺へかくれていた。
屋敷裏の丘は、六浦むつら越えの山波へつづいている。兄弟は秋草の中に岩を見つけて腰かけた。野ぶどうの実が、足もとに見え、ひよが高啼く、もずの音が澄む。——ふたりの胸に幼時の秋が思い出された。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)