“ひこさ”の漢字の書き方と例文

語句	割合
彦三	100.0%

彦三

乳母（うば）に抱かれ、久松座（ひさまつざ）、新富座（しんとみざ）、千歳座（ちとせざ）なぞの桟敷（さじき）で、鰻飯（うなぎめし）の重詰（じゅうづめ）を物珍しく食べた事、冬の日の置炬燵（おきごたつ）で、母が買集めた彦三（ひこさ）や田之助（たのすけ）の錦絵（にしきえ）を繰り広げ、過ぎ去った時代の芸術談を聞いた事。

監獄署の裏 (新字新仮名) ／ 永井荷風(著)

すると猿蔵の蘭丸が鉄扇で彦三（ひこさ）の光秀を打擲した後、其扇をぽんと投げた。寿海はそれを見て苦々しい顔をして云つた。猿。その投様はなんだ。まるで息抜がしてゐる。おれが遣つて見せうと云つた。

伊沢蘭軒 (新字旧仮名) ／ 森鴎外(著)