“ばんがさ”の漢字の書き方と例文
語句割合
番傘100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女房は豆腐を入れた岡持おかもち番傘ばんがさげて出て往った。主翁はその後姿うしろすがたを見送っていたが、障子しょうじが閉まると舌うちした。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
松平伊豆守なんてえ男もこれと同程度である。番傘ばんがさを忠弥に差しけて見たりなんかして、まるで利口ぶった十五六の少年ぐらいな頭脳しかもっていない。
点滴の音は聞えぬが足駄あしだをはいて女中が郵便を出しにと耳門くぐりの戸をあける音と共に重そうな番傘ばんがさをひらく音が鳴きしきる虫の声の中に物淋ものさびしく耳についた。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)