“はるがすみ”の漢字の書き方と例文
語句割合
春霞100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
魚容は気抜けの余りくらくら眩暈めまいして、それでもなお、この場所から立ち去る事が出来ず、廟の廊下に腰をおろして、春霞はるがすみに煙る湖面を眺めてただやたらに溜息をつき
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
甲斐駒の峰々から残雪がすっかり消えると、朝毎の濃霧もいつか間遠になり、やがて春霞はるがすみが高原の夕を染めはじめた。谿川たにがわの水は溢れるようにかさを増し畑の麦は日毎に伸びた。
春いくたび (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
やむをえず、好い加減に領承りょうしょうした。そこで羽衣はごろもくせを謡い出した。春霞はるがすみたなびきにけりと半行ほど来るうちに、どうも出が好くなかったと後悔し始めた。はなはだ無勢力である。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)