“つちろう”の漢字の書き方と例文
語句割合
土牢100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「やいっ、十八公麿まつまろ」と、かんだかい声で、呼ぶ者があった。思いがけない鋭さなので、思わず、足をすくめて振りかえると、彼方かなたの山蔭に、土牢つちろうの口が見えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
博士は、帆村探偵と正太少年とを放りこんである土牢つちろうの前に、そっと近づいた。そして小さい格子窓こうしまどのところへよった。かすかな豆電球がともっている土牢であった。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「知らいでか。貴様も、うとい男だ。この朱王房の顔を忘れたか。俺は、叡山えいざん土牢つちろうから逃亡した成田兵衛なりたのひょうえの子——寿童丸じゅどうまるが成れの果て——今では修験者の播磨房弁海はりまぼうべんかい
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮がこの一年を土牢つちろうに押しこめられていたとする古典「太平記」の土牢説はまちがいで、まったくは陽の目も見ぬ一堂の居室ではあるが、侍女南の御方のかしずきも受けておられたほどなのである。