“くりやぐち”の漢字の書き方と例文
語句割合
厨口100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
厨口くりやぐちから燈火とうかの光がちらちらと見え、人の声が聞こえたから……家には母親のげんと妻のおなおしかいないはずだ、しかしいまそこから聞こえてくるのはどちらの声でもなかった。
蜆谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
老人はなおぶつぶつ云っていたが、間もなく、魚籠びくを担いで厨口くりやぐちの方から出て来た。そこから庭つづきに湖へ桟橋が架け出してある。その脇の枯蘆かれあしみぎわにもやっている老人の小舟がみえた。
日本婦道記:尾花川 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「唯今もどりました」と云って厨口くりやぐちへまわった。するとそこにより女が待っていて、「ご苦労さま、お疲れでしょう……」と少しふるえるこえで云った、それは寒けを感じている人のような声だった。
日本婦道記:萱笠 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)