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歩
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あし
ふりがな文庫
“
歩
(
あし
)” の例文
陰陽博士
(
おんやうはくし
)
で聞えた
安倍晴明
(
あべのせいめい
)
の後裔が京都の
上京
(
かみぎやう
)
に住んでゐる。ある時日の
暮
(
く
)
れ
方
(
かた
)
に
急
(
いそ
)
ぎ
歩
(
あし
)
で一条戻り橋を通りかゝると、橋の下から
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
歩
(
あし
)
早やな筋立のないフィルムだが、筋立はなくともどうやら一つの輪郭を、漠然とした意味をそれらが暗示しようとするから妙だ。
銀座街頭
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
『何だその本は? 哲学か? よせ、よせ』と彼は
歩
(
あし
)
を運んで新見の傍に腰を降して、彼が小笹の上に捨てた洋書を取り上げた。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
白井は木場がその
義妹
(
いもと
)
の金廻りのいゝのにつけ込み、内々融通してもらふ事があるらしいので、わざと離れて一
歩
(
あし
)
二歩と先へあるき出した。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
峠
(
たうげ
)
に
上
(
のぼ
)
つて、
案内
(
あんない
)
に
分
(
わか
)
れた。
前途
(
ぜんと
)
は
唯
(
たゞ
)
一條
(
ひとすぢ
)
、
峰
(
みね
)
も
谷
(
たに
)
も、
白
(
しろ
)
き
宇宙
(
うちう
)
を
細
(
ほそ
)
く
縫
(
ぬ
)
ふ、それさへまた
降
(
ふ
)
りしきる
雪
(
ゆき
)
に、
見
(
み
)
る/\、
歩
(
あし
)
一歩
(
ひとあし
)
に
埋
(
うづ
)
もれ
行
(
ゆ
)
く。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
「俺は、生れて二三度しか徹夜はしたことがないから夜のことは知らないが……君、もう少し
歩
(
あし
)
をゆるめてくれないか。」
蔭ひなた
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
何を考えるともなく、
歩
(
あし
)
が
自然
(
ひとりで
)
に反対の方向に
嚮
(
む
)
いていたことに気がつくと、急に
四辻
(
よつつじ
)
の角に立ち停って
四下
(
あたり
)
を見廻した。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
魂魄
(
たましい
)
ばかりに成り申したら帰りも致そう、生身で一
ト
歩
(
あし
)
でも後へさがろうか、と
罵
(
ののし
)
って悪戦苦闘の有る限りを尽した。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三人一所に立止まり、見れば、何ぞや、この寒空に、素袷のごろつき風。一
歩
(
あし
)
なりとも動いて見よと、いはぬばかりの面構え。かかり合ひてはなるまいと。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
海
(
うみ
)
に出るといふ私の衝動は失綜し、
歩
(
あし
)
をなほ進めて行く事に何かしらんはにかみたい樣な意識が湧いて來た。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
いよいよの時になって、私は奴を一
歩
(
あし
)
先へあるかせ、うしろから右の
頸筋
(
くびすじ
)
を、短刀でぐさと突きました。
按摩
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それが、さうだ、ものの十
歩
(
あし
)
ばかり前まで来たところで、ピタリと足を停めてしまつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:05 呪禁のかかつた土地
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
仄白
(
ほのじろ
)
い夜の雪ばかりで誰の影も見えません。
暫
(
しばら
)
く
佇立
(
たたず
)
んでおりましたが、「晴れたな」と口の中で言って、二
歩
(
あし
)
三
歩
(
あし
)
外へ
履出
(
ふみだ
)
して見ると、ぱらぱら冷いのが
襟首
(
えりくび
)
のところへ
被
(
かか
)
る。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
貢さんは、阿母さんの機嫌を損じたなと思つたので、
徐
(
そつ
)
と
背
(
せな
)
を向けて四五
歩
(
あし
)
引返した。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
大概の者なれば
真二
(
まっぷた
)
つにもなるべき所なれども、
流石
(
さすが
)
は飯島平左衞門の仕込で真影流に達した腕前、
殊
(
こと
)
に用意をした事ゆえ、それと見るより孝助は一
歩
(
あし
)
退
(
しりぞ
)
きしが、
抜合
(
ぬきあわ
)
す間もなき事ゆえ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兎も角、釣道の一名家に相違無ければ、道連れになりしを、一身の誉れと心得、
四方山
(
よもやま
)
の話しゝて、緩かに
歩
(
あし
)
を境橋の方に移したりしに、老人は、いと歎息しながら一条の物語りを続けたり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
白字
(
はくじ
)
で
小万
(
こまん
)
と書いた黒塗りの札を掛けてある室の前に吉里は
歩
(
あし
)
を止めた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
あんたは愚かだ。何故なら苦しい思をしてゐながらあんたはその最高の感情を近くに
招
(
まね
)
かうともしなければ、こちらから、あんたを待つてゐる所でそれに會はうと一
歩
(
あし
)
踏み出さうともしないから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そういいながら、女史は腹立たしげに、部屋の隅にあるテエブルの
傍
(
かたわら
)
を掠め過ぎようとしました。と、テエブル掛のかげから、急に
欷歔
(
すすりなき
)
の声が響き出て来るのに
吃驚
(
びっくり
)
して、思わず一
歩
(
あし
)
身
(
み
)
をひきました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
いわばひと
歩
(
あし
)
出世が近付いたと喜んでもいいくらいのもの……
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
と、なんだろう——
歩
(
あし
)
にまつわりつくものがある。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼は歩行を促す後躯のために、余儀なく前躯を一方にすばやくひんまげた。そして習慣の重い
歩
(
あし
)
どりで檻にそつて歩き始めた。
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
婆さんは一向
頓着
(
とんちゃく
)
しない様子で、頬冠の手拭を取って額の汗をふきながら、見れば一
歩
(
あし
)
二
歩
(
あし
)
おくれながら歩いている。
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一体学者といふと、自分の専攻範囲はどんな下らぬ事でも知り
悉
(
つく
)
してゐるが、一
歩
(
あし
)
その外へ踏み出すと、何が何やらさつぱり見当がつかないのが多い。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あの
歩
(
あし
)
の運びは、
小股
(
こまた
)
がきれて、意気に見える。斑蝥は、また飛びしさった。白鷺が道の中を。……
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お山は二
歩
(
あし
)
三
歩
(
あし
)
進寄つて、『何だよ大きな聲で……芝居に行かうと、何に行かうと餘計なお世話ぢやないか。お前に不義理な借金を
爲
(
し
)
てありやしまいし。』と言つて奧を
窺込
(
のぞきこ
)
むと
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
これを聞くとかの急ぎ
歩
(
あし
)
で遣って来た男の児はたちまち歩みを
遅
(
おそ
)
くしてしまって、声のした方を見ながら、ぶらりぶらりと歩くと、女の児の方では何かに
打興
(
うちきょう
)
じて笑い声を
洩
(
も
)
らしたが
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「まあ、さうだ。——君、少し
駆
(
か
)
け
歩
(
あし
)
をしないか。」
蔭ひなた
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
カテリーナは耳に止めようともせず、
歩
(
あし
)
を進めた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
老人はそれを見ると、初めて
老年
(
としより
)
の偉さを皆に見せつける事が出来たやうに、咽喉をころころ鳴らしながら、
跑
(
だく
)
を踏むやうな
歩
(
あし
)
つきで前を通つて往つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「あなた、一
歩
(
あし
)
先へ行つて下さい。わたしはすこし歩いて、次の車に乗りませう。」
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それは言葉通りに身構は南へ向い
歩
(
あし
)
は北へ向って行くことであるか、それとも別に間隔交替か何かの隊法があって、後を向きながら前へ進む行進の仕方が有ったか何様か
精
(
くわ
)
しく知らない。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おのずからのように、
歩
(
あし
)
が運んで、するする
此方
(
こなた
)
へ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
牛の
歩
(
あし
)
より
短歌集 日まはり
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
老人は京の
底冷
(
そこびえ
)
に、風邪でも引いたかして、泡のやうな
洟
(
みづはな
)
を
啜
(
すゝ
)
つてゐたが、ふと自分が今通りかゝつてゐるのは、婦人溜所の前だなと気が
注
(
つ
)
くと、ひよいと
歩
(
あし
)
をとめてその方へ振向いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
源三はすたすたと歩いていたが、ちょうどこの時虫が知らせでもしたようにふと
振返
(
ふりかえ
)
って見た。
途端
(
とたん
)
に罪の無い笑は二人の面に
溢
(
あふ
)
れて、そして娘の
歩
(
あし
)
は少し
疾
(
はや
)
くなり、源三の
歩
(
あし
)
は
大
(
おおい
)
に
遅
(
おそ
)
くなった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
同じ電車から降りたものらしく、一
歩
(
あし
)
先へ歩いて行くのに出会った。
にぎり飯
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかしたちまちにして一ト
歩
(
あし
)
は一ト歩より
遅
(
おそ
)
くなって、やがて立止まったかと見えるばかりに
緩
(
のろ
)
く緩くなったあげく、うっかりとして
脱石
(
ぬけいし
)
に
爪端
(
つまさき
)
を
踏掛
(
ふんがけ
)
けたので、ずるりと
滑
(
すべ
)
る、よろよろッと
踉蹌
(
よろけ
)
る
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
歩
常用漢字
小2
部首:⽌
8画
“歩”を含む語句
歩行
徒歩
行歩
歩廊
漫歩
散歩
歩調
御歩行
一歩
進歩
反歩
急歩
歩出
濶歩
歩哨
歩合
出歩行
十歩
速歩
歩板
...