トップ
>
靠
>
よ
ふりがな文庫
“
靠
(
よ
)” の例文
第三個は鼠色の大外套にくるまり、帽をまぶかに被りてついぢに
靠
(
よ
)
りかゝりたるが、その
身材
(
みのたけ
)
はやゝ小く、
瓶
(
へい
)
を口にあてゝ酒飮み居たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「先ず好かった」と思った時、眩暈が強く起こったので、左の手で夜具葛籠を引き寄せて、それに
靠
(
よ
)
り掛かった。そして深い
緩
(
ゆる
)
い息を
衝
(
つ
)
いていた。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
従来不朽の筆は不朽の人を伝えるもので、人は文に依って伝えらる。つまり
誰某
(
たれそれ
)
は誰某に
靠
(
よ
)
って伝えられるのであるから、次第にハッキリしなくなってくる。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
轟
(
ごう
)
と音がして山の
樹
(
き
)
がことごとく鳴る。思わず顔を見合わす
途端
(
とたん
)
に、机の上の
一輪挿
(
いちりんざし
)
に
活
(
い
)
けた、
椿
(
つばき
)
がふらふらと揺れる。「地震!」と小声で叫んだ女は、
膝
(
ひざ
)
を
崩
(
くず
)
して余の机に
靠
(
よ
)
りかかる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見よ、サマリヤの婦人は
指
(
ゆびさ
)
し、基督は目して居玉ふなり。直ぐ
背
(
うしろ
)
なるエバルの山の山つゞきには、昔のスカル今のアスカルの
三家村
(
さんかそん
)
山に
靠
(
よ
)
りて白し。
瓶
(
かめ
)
を忘れて婦人の急ぎ行く
後影
(
うしろかげ
)
を見よ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
見よ
隴西
(
ろうせい
)
の諸郡から、長安へ行くには、かならず通らねばならぬ地勢にあることを、しかも、前は
渭水
(
いすい
)
にのぞみ、うしろは斜谷に
靠
(
よ
)
り、重畳の山、起伏する丘、また谷々の隠見する自然は
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人に
見棄
(
みす
)
てられた家と、葉の落ち尽した
木立
(
こだち
)
のある、広い庭とへ、沈黙が抜足をして尋ねて来る。その時エルリングはまた昂然として頭を挙げて、あの
小家
(
こいえ
)
の中の
卓
(
たく
)
に
靠
(
よ
)
っているのであろう。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
樊噲だって立派な将軍だが、「生きて
乃
(
すなは
)
ち噲等と伍を為す」と仕方が無しの苦笑をした韓信の笑には涙が催される。氏郷の書院柱に
靠
(
よ
)
りかかって月に泣いた此の涙には
片頬
(
かたほ
)
の
笑
(
えみ
)
が催されるではないか。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
神聖なクリストの恩を謝して、この椅子に
靠
(
よ
)
っている2700
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
私は、蟻の這い廻る老いた幹に頭を
靠
(
よ
)
せ
心の飛沫
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
石田は座布団を敷居の上に敷いて、柱に
靠
(
よ
)
り掛かって
膝
(
ひざ
)
を立てて、ポッケットから
金天狗
(
きんてんぐ
)
を出して一本吸い附けた。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
西関外
(
せいかんがい
)
の城の根元に
靠
(
よ
)
る地面はもとからの官有地で、まんなかに一つ
歪
(
ゆが
)
んだ
斜
(
はす
)
かけの細道がある。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
籠
(
かご
)
ランプの
灯
(
ひ
)
を浅く受けて、深さ三尺の
床
(
とこ
)
なれば、古き画のそれと見分けのつかぬところに、あからさまならぬ
趣
(
おもむき
)
がある。「ここにも画が出来る」と柱に
靠
(
よ
)
れる人が振り向きながら
眺
(
なが
)
める。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
用を足してしまって便所を出ようとしたとき、純一はおちゃらが廊下の柱に
靠
(
よ
)
り掛かって立っているのを見た。そして
何故
(
なにゆえ
)
ともなしに、びっくりした。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やがて書記の川村がどうかお着席をと云うから、柱があって
靠
(
よ
)
りかかるのに都合のいい所へ
坐
(
すわ
)
った。海屋の懸物の前に
狸
(
たぬき
)
が
羽織
(
はおり
)
、
袴
(
はかま
)
で着席すると、左に赤シャツが同じく羽織袴で
陣取
(
じんど
)
った。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
靠
漢検1級
部首:⾮
15画
“靠”を含む語句
靠着
売身投靠
靠垂
靠掛