うそ)” の例文
しまひには、自分で自分を疑つて、あるひは聞いたと思つたのが夢ででもあつたか、と其音のほんとうそかすらも判断が着かなくなる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
云ふ女なり何時いつおれが手前に百兩などと云ふ大金をあづけしやコレ宜加減いゝかげんうそつけと恐ろしき眼色にて白眼にらみ付けるを大岡殿見られコレ/\久兵衞當所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
仮令たといお手紙を上げたとて、うそまことになりもせず、涙をどれ程そそいでも死んだものが生き戻りはいたしますまい。
其の頃は鉄砲が流行はやらんから矢戦であったが、此方こちらは遂に矢種が尽きたゆえ矢切村と申す、其の時に鴻の鳥が浅瀬を渡ったという、これはうそほんとか分らんが
うそ言うて」と伯母は口開いてカラ/\と打ち笑ひ「わしがお前のおかみさんを忘れていものかの」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
この人はなんでも十三四のころから読売新聞よみうりしんぶん寄書きしよしてたので、文章ぶんしやうを見た目でこの人をると、まるうそのやうなおもひがしました、のち巌谷いはや初対面しよたいめんの時の事を言出いひだして
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私の家の系図はうそまことか受け合われませぬが、この河村からまた別れたとありまして、今日大磯と二宮との中間にある「国府こくふ本郷」、すなわち旧地方庁所在地の氏神が柳田神社というのを見ると
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
うそと思えば奥の間へ行て御覧なさい
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
一々申立よ素直すぐさまに云ばうちへ歸してまたうそを云ば家へも歸さず宿入やどいりにもやらぬぞよ三吉其方は番頭久兵衞のとも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほんとに老女おばさん、どうしたら篠田様のやうな御親切な御心がもてませうかネ——わたしネ老女さん、男なんてものは、みん我儘わがまゝで、道楽で、うそつきで、意気地いくぢなしのものと思つてたんですよ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かねて学校をめてから高利貸アイスを遣つてゐると云ふ話は聞いてゐましたけれど、極温和ごくおとなしい男で、高利貸アイスなどの出来る気ぢやないのですから、そんな事はうそだらうと誰も想つてをつたのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
よろこれいもそこ/\支度したくとゝの其日そのひ出立せしが日光と云は元來うそなれば夫より芝邊しばへんへ行て四五日
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さあ、そこで誰もうそと想ふのです」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)