すき)” の例文
足のぐらぐらする餉台の上には馬鈴薯じゃがいもと大根とのごった煮と冷たい飯とだけだった。それでもすきっ腹には旨かった。
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「まだ朝飯にありつかないんで、——あわてて飛出したが、すきぱらに小石川は遠すぎましたよ」
つれ王子へ花見にゆくつもりで辨當べんたうなぞも容易ようい致し參りましたれどはや草臥くたびれ殊にははらすきしより茲等こゝらで開いて一ぱいと思へど通に掛茶屋も有ねばじつこうじてをりしが只今たゞいま水をいたゞいたを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「おい、久の字。ここらで帰るがいいぜ。あしたのひるまえにゃ、いつもの所へ、阿能とふたり、すきッ腹で行くから、おそでにいって、美味うまいもので、飯のしたくをさせといてくんな」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すきぱらの人に食はせねえつて法はありませんやね。で、その男にも串を渡したもんで。
どうして反抗できるものか。君たちのうち一人として不滅の魂を信じてる者はいない。君たちはただ口腹にすぎないと僕は断言する。物をつめ込もうとばかり考えてるすきっ腹ばかりだ。
ぐわうとすきぱらを掻きまは
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「まだ朝飯にあり付かないんで、——あわてて飛出したが、すきつ腹に小石川は遠過ぎましたよ」
どうぞ何とかお助けの方法を講じてやっておくんなさい、でないと、わっしは我慢いたしますが、すきぱらまぎれに乾分こぶんの奴が、御当家のことを、どんなふうに世間へ吹聴ふいちょうするかもしれませんので
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すきぱらに団子と来てござる。