浅緑あさみどり)” の例文
小鳥ことりが、どこかでいていました。ようやく浅緑あさみどりをふいた木立こだちは、よろこばしげにおどっていました。そらあおぐとくもながれています。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
しんたのむねをりたところに、かたがわには椿つばきがありました。いまはなって、浅緑あさみどりやわらかい若葉わかばになっていました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
くちばし浅緑あさみどり色、羽は暗褐色あんかっしょく淡褐色たんかっしょく斑点はんてん、長い足は美しい浅緑色をしていた。それをあらくつぶして、骨をトントンと音させてたたいた。それにすらかれは疲労つかれを覚えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
牡丹ぼたんはしけたやうに、花の中を廻りめぐつて、奥へ続いた高楼たかどのの廊下づたひに、黒女くろめこしもと前後あとさきに三人いて、浅緑あさみどりきぬに同じをした……おもては、雪のが沈む……しろがねくし照々てらてら
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
微赤うすあかい月の光が浅緑あさみどりをつけたばかりの公孫樹いちょう木立こだちの間かられていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
睫毛まつげは草の浅緑あさみどり
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
浅緑あさみどり淡黄うすき
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
この路をあとへ取って返して、今へびったという、その二階屋にかいやかどを曲ると、左の方にの高い麦畠むぎばたけが、なぞえに低くなって、一面にさっと拡がる、浅緑あさみどりうつくし白波しらなみうっすりとなびなぎさのあたり
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかるに重体の死にひんした一日、橘之助が一輪ざしに菊の花をけたのを枕頭まくらもとに引寄せて、かつてやんごとなきなにがし侯爵夫人から領したという、浅緑あさみどりと名のある名香めいこうを、お縫の手でいてもらい
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きらきらと、薄紅うすくれないに、浅緑あさみどりに皆水に落ちた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)