段取だんどり)” の例文
船長ノルマンは、自分たちに都合のよいことばかりかんがえ、そして万事ばんじぬかりのないように、先の段取だんどりを、心のうちに決めたのであった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いよいよ日を定めて黒岩と会見する段取だんどりにまでなったが、順序上先ず読売の最高顧問たる高田早苗たかださなえに内々打明けた処が
で、とうとうわたくし祭神さいしんとした小桜神社こざくらじんじゃ村人全体むらびとぜんたい相談そうだん結果けっかとして、建立こんりゅうされる段取だんどりになってしまいました。
わたくしめの考へまするにはこのお座敷には人並秀れた偉い御器量のお方が居らせられますので、それでどうも手品が段取だんどりよく運ばないやうに存じられまする。」
ごうも技巧の臭味くさみなしに、着々成功して行く段取だんどりを、一歩ごとに眺めた彼女は、自分の天性と夫人のそれとの間に非常の距離がある事を認めない訳に行かなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ロレ ひめこゝろはまだらぬとおほせらるゝ。すれば段取だんどり素直すなほでない、吾等われらこのもしうおもひませぬ。
六十余州よしう往来わうらいする魔物まもの風流ふうりうおもふべく、はたこれあるがために、闇川橋やみがはばしのあたり、やまそびえ、はなふかく、みちゆうに、みづはや風情ふぜいるがごとく、能楽のうがくける、まへシテと段取だんどりにもる。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お房は、チヤブ臺を持出もちだしたり、まめ/\しく立働たちはたらいて、おぜん支度したくをしてゐる。周三は物珍ものめづらしげにれを見たり是れを見たりして、きよろついてゐると、軈てお膳に向ふ段取だんどりとなる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
これが多数の予想である。いづれ四月の各雑誌に流行服の写真が幾種もおほやけにせられ、其れを見て米国の贅沢ぜいたく女が電報で註文し、仮縫を身に合せかた/″\巴里パリイ見物に続続ぞくぞく遣つて来ると云ふ段取だんどりである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
其の時私は自分の中でぺちんと破裂したような音を感じ、ハテ面妖なとは思いましたが、私はこの作業から立戻って、再び私のふる郷の、立上る力の泉の、死の世界をかえりみ段取だんどりになりました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
したのではもとよりなく、きのうもきょうもと、二日二晩ふつかふたばんかんがいた揚句あげくてが、隣座敷となりざしきちゃれているとせての、雲隠くもがくれれがじゅんよくはこんで、大通おおどおりへて、駕籠かごひろうまでの段取だんどりりは
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
こうまとまると段取だんどりはバタバタついた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「巧いよ、実際、段取だんどりが」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
始めは、ただ闇の段取だんどりが違うだけの事と思っていると、それがしだいしだいに暗がりを離れてくる。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そういう段取だんどりになれば、私は間違まちがいなく、闇の迷路めいろをうまくり通ってきたことになるのである。
神界しんかいから霊界れいかい霊界れいかいから幽界ゆうかいへと、だんだんにそのお形態からだ物質ぶっしつちかづけてあったればこそ、ここにはじめて地上ちじょう人類じんるい発生はっせいすべき段取だんどりすすたのであるともうすことでございます。
で、貴婦人は母屋おもやへ入った——当分離座敷に一人の段取だんどりで。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
治明博士は、かねて考えておいた段取だんどりのとおり、ここで重大なる質問を発した。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ツイうっかりお約束やくそくをしてしまいましたので、これからわたくし小桜神社こざくらじんじゃとしてまつられた次第しだい物語ものがたらなければならぬ段取だんどりになりましたが、じつわたくしとしてこんな心苦こころぐるしいことはないのでございます。
こう云う時は、魂の段取だんどりが平生と違うから、自分で自分の本能に支配されながら、まるで自覚しないものだ。気をつけべき事と思う。この例なども、解釈のしようでは、神が助けてくれたともなる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)