果樹園かじゅえん)” の例文
春がくればにしきをかざる牧原、秋がくればたわわにみのる果樹園かじゅえん。このようにめぐまれた土地は、世界のどこにもないと思います。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
おけらは、どこか、野菜畑やさいばたけか、果樹園かじゅえんのすみに、あまり世間せけんられずにすむ、自分じぶんちいさなあなってはいるために、かわいたみちいそいでゆきました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ねえ区長さん。田畑たはた果樹園かじゅえんはどうなっているのですか。地上を攻撃されるおそれがあるんなら、地上でおちおち畑をつくってもいられないでしょう」
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
果樹園かじゅえんもない、ただまつと灌木かんぼくの林があるだけであった。やがて人家もだんだん少なくなり、だんだんみすぼらしくなった。とうとうわたしたちは大きな高原のまん中にいた。
なぜなら、下のほうに大きな果樹園かじゅえんが見えたとき、いかにも自慢じまんそうにこうさけびました。
そこは山芝やましばの平地で、あまいにおいをただよわせている果樹園かじゅえんには、なにかのれ、大きな芭蕉ばしょうのかげには、竹を柱にしたゆかしい一軒の家が見えて、ほんのりと、あかりがもれている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主婦しゅふの誕生日だが、赤の飯に豆腐汁で、いわしの一尾も無い。午前に果樹園かじゅえんを歩いて居たら、水蜜の早生わせが五つばかりじゅくして居るのを見つけた。取りあえず午餐の食卓にのぼす。時にとっての好いお祝。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ねえ区長さん。田畑たはた果樹園かじゅえんはどうなっているのですか。地上を攻撃されるおそれがあるんなら、地上でおちおち畑をつくってもいられないでしょう」
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その少年しょうねんは、りんごのえていたのです。からだよわいので小学校しょうがっこうえると、自分じぶん果樹園かじゅえんいとなむことにしたのです。それで、自分じぶん一人ひとりではさびしいから
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、それをはなおもってんでいっては、いけません。そして、まち近傍きんぼうには、人間にんげん栽培さいばいしている花園はなぞのや、いろいろの果樹園かじゅえんがあるものですから、そこへいっておやすみなさい。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あか夕空ゆうぞらしたに、工場こうじょう煙突えんとつがたくさんたっている、近代的きんだいてきまち風景ふうけいとか、だいだいいろ太陽たいようえるおかに、光線こうせんなみうつ果樹園かじゅえんとか、さもなければ、はてしない紺碧こんぺきうみをいく
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、このむら二人ふたり少年しょうねんが、経営けいえいしている果樹園かじゅえんらぬものはありません。はるのうららかなに、ここをたずねると、かわべりには、むらさきほしのようなヒヤシンスが、一めんにいいかおりをはなっています。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)