てき)” の例文
欧羅巴ヨーロッパで十六、七世紀の頃行った事を、今日なお夢みているものもあるか知らぬが、もはやかくの如き夢想むそうは一てきすべきである。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
と、わっぱの頬でもるような平手の一てきを食らわせた。なんでたまろう、二つの体は仲よく躍ッてたまりの中へ飛んでいった。刹那。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらに島津太郎丸は、薬草道人の感化を受け、不軌の心を一てきし、伊集院、お紋を引き連れて、領国薩摩へ引き上げたが、その後の消息は不明である。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこでいよいよここに、○○国境を新戦場として、たがいほこりあう彼我ひがの精鋭機械化兵団が、大勝たいしょう全滅ぜんめつかの、乾坤けんこんてきの一大決戦を交えることになったのである。
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
乾坤けんこんてきの大芝居を打つたのでした。
「——退くも滅亡、進むも滅亡ならば、突きすすんで、乾坤けんこんてきのなかから、もののふの名と、死にばなを、両手につかみ取って死のうではないか」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、疑いもし、かつ敵の決意のただならぬものあるを覚って、今は、乾坤けんこんてき、蜀魏の雌雄しゆうをここに決せんものと
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして自分たちがつぎ乾坤けんこんてきにのぞむ支度したくのために、一両年りょうねん諸国しょこく流浪るろうしてみるのも、またよい軍学修業ぐんがくしゅぎょうではないか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乾坤けんこんてきのこの分れ目は、区々たる兵数の問題でなく、敗れを取るも勝利をつかむも、一にあなたのお胸にあります
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあと、義貞は、門廊の床几しょうぎにかかって、さしせまる乾坤けんこんてきの戦いをどう戦うべきか、よろいの高紐たかひもにおや指をさしはさみ、ひとり唇をかんでいた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「敵として、不足のない敵。このたびの合戦こそは、全甲州の実力と、全徳川の実力とが、真正面にぶつかって、のるかそるかの乾坤けんこんてきとなるだろう」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せめて今日一日だけでも、長陣のつかれ、旅の気疲れなど、すべてを一てきして、気ままに宿所にこもっていたいとしていたが、それも周囲がゆるしてくれない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、玄徳を攻めれば、当然、曹操を敵として、乾坤けんこんてきの運命を賭すまでの局面へ行き当る——それは、避けたいのだ。しかし目前の玄徳は討たざるを得ない。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、かつて軍神いくさがみ信玄しんげんが、甲山こうざんの兵をあげて、梟雄きょうゆう家康いえやすへ、乾坤けんこんてき血戦けっせんをいどんだ三方みかたはら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以来、喪室そうしつの感傷を一てきして、政務を見、軍事にも熱心に、明け暮れ魯粛の卓見をたたいた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乾坤けんこんてき、勝って、博多の土をふんだのだ。そして、妻の兄英時が、あえなく滅亡をとげた恨みの地——探題屋敷の跡——へ勝者の将軍として十余年後のいま立った彼なのだ。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乾坤けんこんてきの勝負をめるならば、それにご同意どういいたしてもさしつかえはござらん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、悲壮なほぞをかためて、乾坤けんこんてきの決戦をうながしたが、玄徳は
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その一刻のあいだに秀吉は、江北の敗れをもって、むしろ天与の勝機と断じ、立ちどころに、全軍の大方略を一決し、乾坤けんこんてきの大道十三里余にわたる途々みちみち布令ふれまで先駆させて、ここにはらたい
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その戦争はさらに乾坤けんこんてきな次の大戦争を大坂方とのあいだにはらんではいるが、しかしそれはもう長い戦争の終局的なもので、その一戦で長い長い日本の春秋時代も、ほんとの平和にかえるだろうと
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乾坤けんこんてき天下をとるか否かのやまを張っているような気概でいる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)