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良斎はじめ一座が、自分たちながら忘れ方もここまで来ては、むしろ非人情に近いことをじねばならない。それを鐙小屋あぶみごやの神主は
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私も寄宿生の乱暴を聞いてはなはだ教頭として不行届ふゆきとどきであり、かつ平常の徳化が少年に及ばなかったのを深くずるのであります。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かかる席につらなりては、口利くちきくだにずかしきものを、いざさらば帰るべしとて、思うままに言いののしり、やおらたたみ蹶立けたてて帰り去りぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「わたしは貧しいから、立派な邸宅のないのをじます。ただ茅廬あばらやがあります。しばらく一緒にかくれようではありませんか。」
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
彼は到底一の「殉」字を会得えとくしたるもの、しこうして彼は到底一の殉字にじざるもの、略言すれば彼は天成の好男児なり、日本男児の好標本なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そのうちに、不忠の罪をじて、玉座の安泰をはかりましょう。ともあれ、ここは静かに、成行きをご覧あそばしませ
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然うなると周三はさすがにうちかへりみて心にづる、何だか藝術の神聖をがすやうにも思はれ、またお房に藝術的良心りやうしん腐蝕ふしよくさせられるやうにも感ずる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
天を仰げる鼻のあなより火煙もくべき驕慢きょうまんの怒りに意気たかぶりし為右衛門も、少しはじてや首をたれみながら、自己おのれが発頭人なるに是非なく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さいはひ怪我けがは無かりけれど、彼はなかなかおのれの怪我などより貴客きかくおどろかせし狼藉ろうぜきをば、得も忍ばれず満面にぢて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どういうものであるかをさえ知らさないように導いて来た体制を、今なお明瞭に判断しつくし得ていないという点について、よりずべきであろうと思う。
その源 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
彼は飛んでもない舞台へ、いつとなし登場して来たことをじながらも、手際てぎわのいい引込みも素直にはできかねるというふうだった。浪子なみこ不動がすぐその辺にあった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
李はますますじて、其所にいるのに堪えられないようであった。蓮香はそこで丸薬を桑の口に納れ、それから李の前に出した。李はしかたなしに嘗めた。蓮香は言った。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
余が不敏を顧みずここに二、三の問題を提起して批判を仰ぐ所因ゆえんもまたこれに外ならず。ただいたずらに冗漫の辞を羅列して問題の要旨に触るるを得ざるは深く自らずる所なり。
自然現象の予報 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
アポロ怒ってミの耳を驢の耳にし、ミこれをじて常に高帽で隠しその一僕のみ主人の髪をはさむ折その驢耳なるを知った。由ってその由人に洩らすまじと慎んでもこらえ切れず。
朕薄徳を以てかたじけな重任ぢゆうにんけたり。未だ政化をひろめず寤寐ごみにも多くづ。いにしへの明主は皆先業をくしてくにやすらかに人楽しみわざわひ除かれさきはひ至れり。何の政化を修め能く此の道をいたさむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
然るに内行を潔清に維持して俯仰ふぎょうずる所なからんとするは、気力乏しき人にとりて随分一難事とも称すべきものなるが故に、西洋の男女独り木石ぼくせきにあらずまた独り強者にあらず
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
武はじて帰って来た。帰る道でいろいろと考えてみたが、七郎の母親のいった言葉の意味がはっきりと解らなかった。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
で、仮に一歩を譲るさ、譲つて、高利アイスを借りるなどは、紳士たるもののいともづべきおこなひと為るよ。さほど慚づべきならば始から借りんが可いぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
にがくはなけれど効験ききめある薬の行きとどいた意見に、汗を出して身の不始末をずる正直者の清吉。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
母親は黙ってしまったが、嫁に言いこめられたのをじて泣きだした。崑は入ってきて母の顔に涙の痕のあるのを見つけて、問いつめてその事情を知ったので、怒って、十娘を責めた。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
じ入るような気分になったのは、主膳としては珍しいことですが、これはむしろ主膳そのものの本性で、いつもそういう悔恨の時に、良心を酔わせる材料がないせいかも知れません。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
我慢づよい兄の口からそう言われると、道太は自分の怠慢が心に責められて、そう遠いところでもないのに、なぜもっと精を出して毎日足を運ばないのかと、みずからじるのであった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この人を雇いこの品を買うがために金を費やすは、わが学術のいまだ彼に及ばざるがために日本の財貨を外国へ棄つることなり。国のためには惜しむべし。学者の身となりてはずべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その頼みの言葉のおわらないうちに、珊瑚がとばりの中から出て来た。大成はひどくじて、黙って出て帰ろうとした。珊瑚は両手をひろげて出口にたちふさがった。
珊瑚 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
と苦くはなけれど効験きゝめある薬の行きとゞいた意見に、汗を出して身の不始末をづる正直者の清吉。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ひそかに額の汗を拭いて感心したりじ入ったり。
周はますます怒って村役人を罵倒ばとうした。村役人はじると共にいかって周を捕縛して監獄へつないだ。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ああかかるもの取らんとて可愛き弟を悩ませしか、たっとき兄をおぼらせしかと兄弟ともにじ悲しみて、弟のたもとを兄は絞り兄の衣裾もすそを弟は絞りて互いにいたわり慰めけるが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「子供はもう婚礼させなくてはならないが、ただ世界が違っているのをじるのだ。どう思う。」
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ところが其を玩賞がんしょうしていた折から、ふと手を滑らせて其茶碗を落した。すると流石さすが大々名でもハッと思うて胸ドッキリと心が動いた。そこで政宗は自らじ自ら憤った。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
少しはぢてや首をを揉みながら、自己おのれが発頭人なるに是非なく、有し次第を我田に水引き/\申し出れば、痩せ皺びたる顔に深く長くいたる法令の皺溝すぢをひとしほ深めて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それは大きな長い虫であったから、成はじてどうしても闘わさなかった。少年は強いて闘わそうとした。成はそのうちにつまらない物を飼っていても、なんにもならないから闘わしてみよう。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
華嚴へ飛び込みたいやうな氣のする人があつたら、六十三歳から瀧壺道を七年かゝつて造つた人にもぢて、せめて故郷へかへつて半年なりと鍬でも鋤でも振廻して働いて見て貰ひたい。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
大成の母はじてひどく自分で自分の身をせめた。
珊瑚 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
たぎり立った世のさむらいに取ってずべき事と定まっていたことは何ヶ条もあった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
みずからづ 駑蹇どけんの姿
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)