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ふりがな文庫
“
心着
(
こころづ
)” の例文
「
今日
(
こんにち
)
は、」と、声を掛けたが、フト
引戻
(
ひきもど
)
さるるようにして
覗
(
のぞ
)
いて見た、
心着
(
こころづ
)
くと、自分が
挨拶
(
あいさつ
)
したつもりの
婦人
(
おんな
)
はこの人ではない。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孤児
(
みなしご
)
の父は隆三の恩人にて、彼は
聊
(
いささ
)
かその旧徳に報ゆるが為に、
啻
(
ただ
)
にその病めりし時に扶助せしのみならず、常に
心着
(
こころづ
)
けては貫一の月謝をさへ
間
(
まま
)
支弁したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼
(
かれ
)
には
悲愴
(
ひそう
)
の
感
(
かん
)
の
外
(
ほか
)
に、まだ一
種
(
しゅ
)
の
心細
(
こころぼそ
)
き
感
(
かん
)
じが、
殊
(
こと
)
に
日暮
(
ひぐれ
)
よりかけて、しんみりと
身
(
み
)
に
泌
(
し
)
みて
覚
(
おぼ
)
えた。これは
麦酒
(
ビール
)
と、
莨
(
たばこ
)
とが、
欲
(
ほ
)
しいのであったと
彼
(
かれ
)
も
終
(
つい
)
に
心着
(
こころづ
)
く。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
心着
(
こころづ
)
けば、正面
神棚
(
かみだな
)
の下には、我が姿、
昨夜
(
ゆうべ
)
も扮した、劇中
女主人公
(
ヒロイン
)
の王妃なる、玉の
鳳凰
(
ほうおう
)
の如きが掲げてあつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
心着
(
こころづ
)
けば
旧来
(
もとき
)
し
方
(
かた
)
にはあらじと思ふ坂道の
異
(
こと
)
なる
方
(
かた
)
にわれはいつかおりかけゐたり。丘ひとつ越えたりけむ、戻る
路
(
みち
)
はまたさきとおなじのぼりになりぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
その時までは、
殆
(
ほとん
)
ど自分で何をするかに
心着
(
こころづ
)
いて居ないよう、無意識の間にして居たらしいが、フト目を留めて、
俯向
(
うつむ
)
いて、じっと見て、又
梢
(
こずえ
)
を仰いで
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
心着
(
こころづ
)
くと、おめしものも
気恥
(
きはずか
)
しい、
浴衣
(
ゆかた
)
だが、うしろの
縫
(
ぬい
)
めが、しかも、したたか
綻
(
ほころ
)
びていたのである。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
砂の上に唯一人やがて星一つない下に、果のない
蒼海
(
あおうみ
)
の浪に、あわれ
果敢
(
はかな
)
い、弱い、力のない、身体
単個
(
ひとつ
)
弄
(
もてあそ
)
ばれて、
刎返
(
はねかえ
)
されて居るのだ、と
心着
(
こころづ
)
いて
悚然
(
ぞっ
)
とした。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少年も少し
心着
(
こころづ
)
いて、
此処
(
ここ
)
は
何処
(
どこ
)
だらう、と聞いた時、はじめて知つた。木曾の
山中
(
やまなか
)
であつたのである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
小
(
ちいさ
)
な胸には、大切なものを落したやうに、
大袈裟
(
おおげさ
)
にハツとしたが、ふと
心着
(
こころづ
)
くと、絹糸の端が有るか無きかに、指に
挟
(
はさま
)
つて残つて居たので、うかゞひ、うかゞひ、
密
(
そっ
)
と引くと、糸巻は
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
夕月に、あの花が露を
香
(
にお
)
わせてぱッと咲くと、いつもこの
黄昏
(
たそがれ
)
には、
一時
(
ひととき
)
留
(
とま
)
り
餌
(
え
)
に騒ぐのに、ひそまり返って一羽だって飛んで来ない。はじめは
怪
(
あや
)
しんだが、二日め三日めには
心着
(
こころづ
)
いた。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼のふち
清々
(
すがすが
)
しく、涼しき
薫
(
かおり
)
つよく薫ると
心着
(
こころづ
)
く、身は
柔
(
やわら
)
かき
蒲団
(
ふとん
)
の上に臥したり。やや枕をもたげて見る、
竹縁
(
ちくえん
)
の
障子
(
しようじ
)
あけ
放
(
はな
)
して、庭つづきに向ひなる
山懐
(
やまふところ
)
に、緑の草の、ぬれ色青く
生茂
(
おいしげ
)
りつ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔にはただあたたかき
霞
(
かすみ
)
のまとふとばかり、のどかにふはふはとさはりしが、
薄葉
(
うすよう
)
一重
(
ひとえ
)
の
支
(
ささ
)
ふるなく着けたる
額
(
ひたい
)
はつと下に落ち沈むを、
心着
(
こころづ
)
けば、うつくしき人の胸は、もとの如く
傍
(
かたわら
)
にあをむきゐて
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“心”で始まる語句
心
心配
心地
心持
心算
心細
心得
心底
心臓
心許