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尠
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すくな
ふりがな文庫
“
尠
(
すくな
)” の例文
誰もが知っている通り、春夏秋冬と、松の木
位
(
ぐらい
)
手入
(
てい
)
れに手数のかかる木は
尠
(
すくな
)
い。自然
物入
(
ものいり
)
もかさむ。全くやっかい至極な放蕩息子だ。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
それら全体の諸関係をひっくるめて友情につつんでいてくれる決して
尠
(
すくな
)
くない友人たちのいるということ。なかなか私は幸福者です。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
陸軍では昔は脚気が非常に多かったことも、今は激減していることも、胚芽米を使用している部隊が
尠
(
すくな
)
くないことも皆本当である。
兎の耳
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
国は小さく、民は
尠
(
すくな
)
く、しかして残りし土地に荒漠多しという
状態
(
ありさま
)
でありました。国民の精力はかかるときに
試
(
た
)
めさるるのであります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
必ずいつでも「己」であるという訳には行きませぬが、
尠
(
すくな
)
くも一方「遠能」と書いてあるものとは同じ語ではないということは言える。
古代国語の音韻に就いて
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
▼ もっと見る
又遠望した所に
拠
(
よ
)
っても、樹木
尠
(
すくな
)
く岩石が赤裸々に露出しているから、幾百米の断崖が水に臨んで峭立しているであろうと想わしめる。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
またその法螺に乗る以上は理知の人間として自分の人格に
尠
(
すくな
)
からぬ汚点を
貽
(
のこ
)
す恐れがあっても、まるで気にならなかったんだろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
場所柄エリスの来そうもないところなので、林は
尠
(
すくな
)
からず不審に思った。二人はヒソヒソと話を続けていた。軈て二人は店を出た。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
しかし、多く言わず
少
(
すくな
)
く言う文芸である。少く言いて多くの意を運ぶ文芸である。叙写は
尠
(
すくな
)
くって多くの感銘を人に与える文芸である。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
女子も立たねばならぬ、意志の力を十分に養わねばならぬとはかれの持論である。この持論をかれは芳子に向っても
尠
(
すくな
)
からず鼓吹した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
種彦は
菱垣船
(
ひしがきぶね
)
や十組問屋仲間の
御停止
(
ごちょうじ
)
よりさしもに手堅い江戸中の豪家にして
一朝
(
いっちょう
)
に破産するものの
尠
(
すくな
)
くない事を聞知っていた処から
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
氏と私との交際に於て——
尠
(
すくな
)
くも私の長座の為めに、氏の感ずる受難の如き、
将
(
まさ
)
しく夫れに相当しよう。で、私は云おうと思う。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし学校生活を顧みて絶対にやらなかったと断言出来る人は
尠
(
すくな
)
かろうと思う。あれは制度の罪だ。試験がカンニングをさせる。
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
僕は日本誌壇の近状を
簡短
(
てみじか
)
に告げて、氏の
作物
(
さくぶつ
)
を読む者の
尠
(
すくな
)
からぬ事を述べ、最近に森鴎外氏が氏の小説を紹介せられた事などを話した。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
=同= 同婦人は、
姪
(
めい
)
の
浜
(
はま
)
なる実家に、近き親戚の
尠
(
すくな
)
き旨を洩らせるが、田舎の富家には往々にして此の如く血縁的に孤立せる家系あり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それは十年も前からの友人に、ふと道で
往
(
ゆ
)
きあった時のような、
極
(
ご
)
く自然な言葉であった。
尠
(
すくな
)
くとも、私にはそう感じられた。
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
工場におけるその
痩腕
(
やせうで
)
の稼ぎから生み出した賃銀に由って自己の衣食を支え、それを以て家長の厄介を
尠
(
すくな
)
くしているだけでも
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
また近代位い書生や弟子入りする事を嫌がる時代も
尠
(
すくな
)
い、それは個人の神経を生かそうとする時代精神からであるかも知れず
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
半数にも満たざるこの残り
尠
(
すくな
)
き同志中より、さらに今中尉を奪われしことは我らにとって
寂寥
(
せきりょう
)
これに過ぐるものはありません。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
当時、沢庵の学識道徳に傾倒する大名は
尠
(
すくな
)
くなかったが、特に熱烈だったのは、細川越中守
忠利
(
ただとし
)
と、柳生但馬守
宗矩
(
むねのり
)
であった。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
即ち西郷隆盛の如き、烈公、藤田らの夢想外にも、論理的結果を極端まで押し詰め、徹頭徹尾倒幕論と為りたるもの
尠
(
すくな
)
からず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
けれども、見ぬ世の
祖々
(
オヤ/\
)
の考へを、今の見方に引き入れて調節すると言ふことは、其が譬ひ、よい事であるにしても、
尠
(
すくな
)
くとも真実ではない。
妣が国へ・常世へ
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
これ等の中には青年少年で将来どれだけ偉大な仕事をやったであろうと思われる人々も
尠
(
すくな
)
くなかったであろうに、惜しい事をしたものである。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
宿縁と申しませうか、このたび縁あつて——仏教では縁といふものに理外の理、宿命的な義理を与へて
尠
(
すくな
)
からぬ重要なものに扱つてゐますね。
盗まれた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「実際、呆れた奴ですなあ。あれも少し気が
触
(
ふ
)
れているんじゃアありませんか知ら。
尠
(
すくな
)
くもヒステリー患者ですな。」と、市郎も眉を
顰
(
ひそ
)
めた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尠
(
すくな
)
くともこの間に少しも功利的の考えを加えて居らぬことです。せめてこのことだけでも貴下にかって貰いたいものです。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ある日みと子夫人から、
香奠返
(
こうでんがえし
)
に一冊の貧しい歌集が届いた。納められた中の和歌は数こそ
尠
(
すくな
)
かったがどれもみな高次郎氏の遺作ばかりだった。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
坊主
(
ばうず
)
が
自分
(
じぶん
)
に
向
(
むか
)
つて
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
を
為
(
し
)
たのを、フト
思出
(
おもひだ
)
したのが、
殆
(
ほと
)
んど
無意識
(
むいしき
)
に
挙動
(
ふるまひ
)
に
出
(
で
)
た。ト
尠
(
すくな
)
からず
一同
(
いちどう
)
を
驚
(
おどろ
)
かして、
皆
(
みな
)
だぢ/\と
成
(
な
)
つて
退
(
すさ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
当時の仏教は
霊験
(
れいげん
)
仏法や儀礼仏法が盛んであったが、然し心の底から生死の問題に就て
解脱
(
げだつ
)
を求める人も
尠
(
すくな
)
くなかった。
紫式部の美的情緒と浄土教
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なにしろ早朝のことだったから、目撃した市民も意外に
尠
(
すくな
)
い。
手懸
(
てがか
)
りを探したが、一向に有力なのが集らない。事件は全く
迷宮
(
めいきゅう
)
に入ってしまった。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それを又、一々、神経を
尖
(
とが
)
らせて、その都度誰れに頼まれたでもなく、
尠
(
すくな
)
くともハガキ代の自腹を切ってやる馬鹿があるかと、蔑視されもしよう。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
詩家
豈
(
あに
)
無情の動物ならむ、否、其濃情なる事、常人に幾倍する事
著
(
いちじ
)
るし、然るに
綢繆
(
ちうびう
)
終りを全うする者
尠
(
すくな
)
きは何故ぞ。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
これは、中野にとっては、急速につくった思いつきの理論ではなく、年来の主張であるだけに、一貫した論理が、
尠
(
すくな
)
からず好感をもって迎えられた。
叛骨・中野正剛:――主観的な覚え書き
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
これで頭の中から薪駄っぽと五五の二十五と、
亜剌比亜
(
アラビア
)
数字の幻影を追い出そうと思ったのだ。果して、息を吐いてから気持も
尠
(
すくな
)
からず軽くなった。
幸福な家庭
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
尠
(
すくな
)
くとも、それで、私は、私なりに樂しかつた。私は、たゞ邪魔されることだけを怖れてゐた。それは、あまりにも早く來た。
朝食堂の扉
(
ブレーク・フアスト・ルーム・ドア
)
が開いた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
人どほりの
尠
(
すくな
)
い朝のうちで、街道は曲折のなるべく無いやうについてゐるから、
遙
(
はる
)
か向うから人の来るのが見えてその人に
逢
(
あ
)
ふまでには大分かかる。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
県下教育の上に貢献するところ
尠
(
すくな
)
からずと書いてあつた。『基金令第八条の趣旨に基き、金牌を授与し、之を表彰す』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その張りたる
腮
(
あぎと
)
と、への字に結べる
薄唇
(
うすくちびる
)
と、
尤異
(
けやけ
)
き
金縁
(
きんぶち
)
の
目鏡
(
めがね
)
とは彼が尊大の風に
尠
(
すくな
)
からざる光彩を添ふるや
疑
(
うたがひ
)
無し。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その上禅宗では頂相を尊ぶので一種特別な禅宗風な高僧の肖像彫刻が随所にのこっている。面白いものも
尠
(
すくな
)
くない。
本邦肖像彫刻技法の推移
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
尠
(
すくな
)
くとも(と木之助はあの金持の味噌屋の主人のことを思った)、あの人は胡弓の音がどんなものかを知っている。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
もう四五年で七十の
鐺
(
こじり
)
を取らうとする年の割には、皺の
尠
(
すくな
)
い、キチンと
調
(
とゝの
)
つた顔に力んだ筋を見せて、お梶は店の男女や客にまで聞える程の声を出した。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
つまり出来る限りの
尠
(
すくな
)
い労力と費用とで、小さな、狭い、しかも豊富な鉱脈に達する深い坑道を作ったのである。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
遺憾ながらこの錯覚から免れている人は
尠
(
すくな
)
い。古典や古仏を語る人間の口調をみよ。
傲慢
(
ごうまん
)
であるか、感傷的であるか、勿体ぶっているか、わけもなく甘いか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
実は我々の同志者と言はれて居る間にさへ、
尚
(
な
)
ほ心術を誤解して居るものが
尠
(
すくな
)
くないので御座いますから——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
来た夜から蝙也の身の廻りの世話を始めたが、口数も
尠
(
すくな
)
く表情も冷やかでいかにも
眤
(
なじ
)
みにくい感じだった。
松林蝙也
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さういふ打算的な作家が多くなつた。もうあんな小説をかき出したのかと、眼をこする場合も
尠
(
すくな
)
くない。
百万人のそして唯一人の文学
(新字旧仮名)
/
青野季吉
(著)
先生は西洋哲学輸入後日本において初めて独創的な哲学を組織された方であるが、また西洋の哲学で先生の手によって初めて我が国に紹介されたものも
尠
(
すくな
)
くない。
西田先生のことども
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
が、うっかりしたことを云おうものなら、気の弱い妻室が恐がって、この家の
尠
(
すくな
)
いのに、また家を変ろうなどと云いだされては、第一正月を控えて
大
(
おおい
)
に困るから
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
かくて杉田一家の我が国の医学に貢献した
事蹟
(
じせき
)
は決して
尠
(
すくな
)
くはなかったと言わなければなりますまい。
杉田玄白
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
中等学校以上に入らざる青年にも、青年学校の進歩等に依り優れたる指揮能力を有する者が
尠
(
すくな
)
くない。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
尠
漢検1級
部首:⼩
13画
“尠”を含む語句
尠少
不尠
口尠
微尠
数尠