合方あひかた)” の例文
やがて、合方あひかたもなしに、落人おちうどは、すぐ横町よこちやう有島家ありしまけはひつた。たゞでとほ關所せきしよではないけれど、下六同町内しもろくどうちやうないだから大目おほめく。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分は漸くカワレリヤ、ルスチカナの幕開まくあきに淋しい立琴アルプ合方あひかたにして歌ふシチリヤナの一節ひとふし思付おもひついた。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
笛入しのいりの合方あひかたで、好い気持に芝居をしてゐるうちに、フト自分は切られた肩先に心づいた。
硯友社と文士劇 (新字旧仮名) / 江見水蔭(著)
みぞつかつた麥藁帽子むぎわらばうしが、たけかは一所いつしよに、プンとにほつて、くろになつて撥上はねあがる。……もう、やけになつて、きしきるむし合方あひかたに、夜行やかう百鬼ひやくき跳梁跋扈てうりやうばつこ光景くわうけいで。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勿論もちろん叱言こゞとつたつて、かへるはうではお約束やくそくの(つらみづ)だらうけれど、仕事しごとをしてとき一寸ちよつと合方あひかたにあつてもし、うたに……「いけかへるのひそ/\ばなしいての……」と寸法すんぱふわるくない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)