了簡りようけん)” の例文
かせげるだけ稼がせないのは損だと云つたやうな了簡りようけんで、長い間無理な勤をせまして、散々にしぼり取つたので御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
了簡りようけん一つではいまのお内儀かみさんに三くだはんをもられるのだけれど、おまへ氣位きぐらゐたかいからげんさんと一處ひとつにならうとはおもふまい、それだものなほことぶん子細しさいがあるものか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それそれさう云ふ無考むかんがへな、訳の解らん人に僕はくみすることは出来んと謂ふんじや。一体さうした貴方は了簡りようけんぢやからして、始に間をも棄てたんじや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
判証文を取つた奴でも欠落かけおちをするもあれば持逃げのけちな奴もある、了簡りようけん次第の物だわな、いはば馬には乗つて見ろさ、役に立つか立たないか置いて見なけりや知れはせん
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自身に足るほどの物があつたら、それでえと満足して了うてからに手を退くやうな了簡りようけんであつたら、国はたちまほろぶるじや——社会の事業は発達せんじや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
了簡りようけん一つでは今のお内儀かみさんに三下みくだはんをも遣られるのだけれど、お前は気位が高いから源さんと一処ひとつにならうとは思ふまい、それだものなほの事呼ぶ分に子細があるものか
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
飛鳥とぶとりもあとをごすなに候へば、大藤おほふぢ大盡だいじん息子むすこきしに野澤のざわ桂次けいじ了簡りようけんきよくないやつ何處どこやらの割前わりまへひと背負せよはせてげをつたなど〻斯ふいふうわさがあと/\にのこらぬやう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昨日きのふも川田やが店でおちやつぴいのお六めと悪戯ふざけまわして、見たくもない往来へまで担ぎ出して打ちつ打たれつ、あんな浮いた了簡りようけんで末が遂げられやうか、まあ幾歳いくつだとおもふ三十は一昨年おととし
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昨日きのふ川田かはだやがみせでおちやつぴいのお六めと惡戲ふざけまわして、たくもない往來わうらいへまでかつしてちつたれつ、あんないた了簡りようけんすゑげられやうか、まあ幾歳いくつだとおもふ三十は一昨年おとゝし
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大藤おほふぢ大尽だいじんが息子と聞きしに野沢の桂次けいじ了簡りようけんの清くない奴、何処どこやらの割前を人に背負せよはせて逃げをつたなどとかふいふうわさがあとあとに残らぬやう、郵便為替にて証書面のとほりお送り申候へども
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)