“たる”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
77.6%
13.8%
1.5%
1.5%
1.0%
垂弛0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
空樽0.5%
0.5%
酒樽0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
毎年冬になるとくじらの味噌漬のたるがテンコツさんからの到来ものだった。大橋の下へ船がついたからとりにいってくれといってよこした。
その苦労をおとらは能くお島に言聞せたが、身上しんしょうができてからのこの二三年のおとらの心持には、いくらかたるみができて来ていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
蜀山先生かつて謂予よにいつていはくおよそ文墨ぶんぼくをもつて世に遊ぶもの画は論せず、死後しごにいたり一字一百銭にあてらるゝ身とならば文雅ぶんがの幸福たるべしといはれき。此先生は今其幸福あり、一字一百銭にあてらるゝ事嗟乎あゝかたいかな。
私は夏肥りにたるみ切った身体からだを扇風器に預けていた。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
女といへば大抵の無理は通るものと思つてゐるらしいが、実際多くの著作家のなかには女名前の手紙には、喜んで返事を書くやうなあまたるてあひが居ないとも限らない。
大酒飲みと見えて顔色が赤ぼったく垂弛たるんで、両眼の下瞼がベッカンコーをしたように赤く涙ぐんでいる上に、鼻の頭がテラテラと赤熟れになっている処は
昨日きのう文三にいじめられた事を、おまけにおまけを附着つけてベチャクチャと饒舌しゃべり出しては止度とめどなく、滔々蕩々とうとうとうとうとして勢い百川ひゃくせんの一時に決した如くで、言損じがなければたるみもなく
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
生活の大河は、その火花のような恋、焔のような愛を包括してたるみなく静かに流れて行く。
愛は神秘な修道場 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
眼がさめながらまだ痺れたように睡たくて、背なかが蒲団から持ち上げられないほどたるい。こういうときがサイにいちばん辛く悲しかった。
三月の第四日曜 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
たるたけひとたないやうに、とをとこかげに、しばしとて、おあきまた前後あとさきながらうちはひつたから、しめたと、北叟笑ほくそゑみをしてつと、しばらくひまれて、やがて駈出かけだして
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてそのたるんだ所にちょうどぶらんこの綱にでも乗ったようにして、その夕方、二人の小さな女の児が腰を掛けて嬉しそうに寄りそっていた。
空樽たるに腰を掛けて冷酒ひやをあふつてゐた
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
素気そっけなく言ってすぐ入口にまごついている加世子に目を見張った。この眼も若い時は深く澄んで張りのある方だったが、今は目蓋まぶたにも少したるみができていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
きっぱりとわせ、折鶴の紋のついた藤紫の羽織はおり雪駄せったをちゃらつかせて、供の男に、手土産てみやげらしい酒樽たるを持たせ、うつむき勝ちに歩むすがたは、手嫋女たおやめにもめずらしいろうたけさを持っている。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)