“だる”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ダル
語句割合
33.7%
18.3%
14.4%
8.7%
倦怠7.7%
4.8%
3.8%
3.8%
惓怠1.9%
1.0%
懈怠1.0%
1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三吉は三升だるをブラ下げて、艪にしゃがみました。五十六七、すっかり月代さかやきが色付いて、鼻も眼も口もしなびた、剽軽ひょうきんな感じのする親爺です。
切迫した、あえぐような、内心でなにかと闘っているような表情をしていたが、やがて、笑いの消えた顔を、だるそうに縦に振った。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
私はだるい毎日を二階に送っていたが、時々階下へ行っては、おかみさんの洗濯や、買ものに出かけたときに、少しずつ用足しをしていた。
音楽時計 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
それで寒いだるいも言わず、鬼の首を取りもしたかのように独り北叟笑ほくそえんで、探梅の清興を恣にする。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
ある日、女は、森に来て、かの怪しな鳥が、倦怠だるそうに大きな、光沢のある、柔らかな翼を、さも持てあまして、二羽が、互にもつれ合って巣を作っているのを見ていた。
森の暗き夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
来るべき猛暑もうしょを思わせて、何となくだるい日が八百八町につづいている頃、本郷は追分のさき、俗に鰻畷うなぎなわてと呼ばれるところに。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お島はベンチに腰かけて、だるい時のたつのを待っていた。庭の運動場のまわりうわった桜の葉が、もう大半きばみ枯れて、秋らしい雲が遠くの空に動いていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
発熱前の身体はザワザワと、なんともいえぬだるい気持がします。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
代助は、しばらく、それを読んでいたが、やがて、惓怠だるそうな手から、はたりと新聞を夜具の上に落した。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
……もう九時になったか、と、時計の方へやった眼をまた入口の方へやった。青いかあてんだるそうに垂れて、土室どまの中に漂うた酒と煙草のにおいを吸うていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
七日間の餓は犬の瞼を重く懈怠だるくした。莨の煙が旅人の餓を薄らがした。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
あくる朝はなんだか気分がくなかった。ゆうべよく眠れなかったのと、寝衣ねまきで夜露に打たれたのとで、からだがだるいようにも思われた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)