“こも”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コモ
語句割合
70.5%
15.7%
3.8%
2.3%
木洩2.0%
1.5%
1.0%
子守0.7%
乞食0.6%
子持0.4%
0.2%
樹洩0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
古門0.1%
0.1%
木漏0.1%
海蒪0.1%
草薦0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
金眸は朝よりほらこもりて、ひとうずくまりゐる処へ、かねてより称心きにいりの、聴水ちょうすいといふ古狐ふるぎつねそば伝ひに雪踏みわげて、ようやく洞の入口まで来たり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
合歓ねむの木が緑の影を浸している小丘の裾のさゝ川。わたくしは顔や手足を洗うほどに今ぞ剥ぎ出す乞食の下の、こもの下の、女の本性。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かれこもつくこをかついでかへつてとき日向ひなたしもすこけてねばついてた。おしな勘次かんじ一寸ちよつとなくつたのでひどさびしかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
皮肉らしい調子なぞは、不思議なほどこもっていなかった。それだけまたお蓮は何と云っていか、挨拶あいさつのしように困るのだった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
また高い天蓋の隙間から幾つもの偶然を貫いて陰濕なくさむらへ屆いて來る木洩こもは掌のやうな小宇宙を寫し出した。しかし木洩れ陽程氣まぐれなものはない。
闇への書 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
百種ももくさことこもれるおほろかにすな」(巻八・一四五六)、「おほろかに吾し思はば斯くばかり難き御門みかど退まかめやも」(巻十一・二五六八)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
梅雨の靄おほに蒸し立つ日ざかりはくるしかりけり野にこもりつつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
言葉のやさしいのと流行唄はやりうたの調子に近いのとで、手ぬぐいに髪を包んでそこいらの橋のたもとに遊んでいるような町の子守こもり娘の口にまで上っていた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
咲ちゃん! お前はどうして母さんが、こんなにいけないと云うのに聞き分けないの?(お咲は急に声をひそめて、彼の耳の辺でささやいた。)壁を食べるなんていうのは、お乞食こもだってしませんよ。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ふるくは貞觀年間じようかんねんかんちかくは寶永四年ほうえいよねんにも噴火ふんかして、火口かこう下手しもて堆積たいせきした噴出物ふんしゆつぶつ寶永山ほうえいざん形作かたちづくつた。すなは成長期せいちようきにあつた少女時代しようじよじだい富士ふじ一人ひとり子持こもちになつたわけである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
その二十七八の頃には三之助(親父の名)は村の為めに不利な事ばかり企らんでならぬ故いつそこもに巻いて千曲川ちくまがはに流して了はうではないかと故老の間に相談されたほどの悪漢であつたといふ事である。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
膳を、水屋へ運んで行った万野までのも、ひとりで、何か満足している。松の樹洩こもが、台所の棚にまでさしこんで、そこも、今朝から塵もない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
松林の中にそれを置くと樹洩こもに、螺鈿らでん砂子すなごふさがかがやいて、あやしいほど美しいのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又上におほふ所ありてその下には雪のつもらざるを知り土穴をほりこもるもあり。しかれどもこゝにも雪三五尺は吹積ふきつもる也。熊の穴ある所の雪にはかならず細孔ほそきあなありてくだのごとし。
(年の寒暖によりて遅速あり)四五月にいたれば春の花ども一にひらく。されば雪中にる事およそ八ヶ月、一年のあひだ雪をざる事わづかに四ヶ月なれども、全く雪中にこもるは半年也。
たとえば昨夜のように月のいい晩には瓜畑うりばたけの上にこもをかぶせてやらなければならなかったりして夜明かしをすること、いろいろ並べ立ててからついに言い出した。
それは実際一種の劇場の桟敷で、ガラス戸から弱い明るみがほのかにさしており、二つの古椅子ふるいすと編み目の解けた一枚のこもとが狭い中に置いてあり、ひじの高さの前の口には黒木の板がついていた。
……その間に軽羅うすものを纏うた数十名の美人が立ちこもって、愉快な音楽に合わせて一斉に舞踏を初める……。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ふもとかすみは幾処の村落をとざしつ、古門こも村もただチラチラと散る火影によりてその端の人家をあらわすのみ、いかに静かなるひなの景色よ、いかにのどかなる野辺の夕暮よ
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
千三百年のいにしえ、太子がこもらせたもうた御姿を想像し、あの暗澹あんたんたる日に美しい黎明を祈念された太子が、長身に剣をしかと握りしめ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
高々としたはんの木で、赤い芽ざしの浅く染められているのみですから、梢を透いてあたる太陽の木漏こもれ陽は、地上に美しい光線のを描いて、あるかないかくらいな樹上の微風も
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
海布からりて燧臼ひきりうすに作り、海蒪こもの柄を燧杵ひきりぎねに作りて、火をり出でて二五まをさく
婢は近くの巫女みこの家へやられた。巫女は婢といっしょに来て新人の死体の傍へ草薦こもをしいて祈った。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
病人の出た家のかわやこわしてこもをさげ、門口へはずっと縄を張って巡査が立番をした。
今に逆磔刑さかばりつけにしようと簀巻すまきにして絹川へほうこもうと己が口一つだからう思ってろえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)