闇への書やみへのしょ
第一話 私は昨日土堤の土に寢轉びながら何時間も空を見てゐた。日に照らされた雜木山の上には動かない巨きな雲があつた。それは底の方に藤紫色の陰翳を持つてゐた。その雲はその尨大な容積のために、それからまたその藤紫色の陰翳のために、茫漠とした悲哀を …