“かんざし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
79.3%
12.7%
3.0%
挿頭0.7%
0.7%
銀釵0.7%
簪揷0.3%
花簪児0.3%
頭挿0.3%
掻頭0.3%
簪叉0.3%
花簪0.3%
花釵0.3%
頭插0.3%
鳳簪0.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そんな金があるなら、子供にかんざしの一本も買ってやればいい。」母親は見向きもしないで、二階から下って来た膳の上のものの始末をしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
一人の女中の部屋では鼈甲べっこうこうがいかんざしをみんな取り出して綺麗に並べて置いて、銀簪なんぞは折り曲げて並べて行ったとね。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこには、不思議に落ち散りもせず玳瑁たいまいくしと、珊瑚さんごの五分玉に細い金足をすげたかんざしがもう一本あったのです。
知らないふりして、目をそらして、紫玉がかんざし俯向うつむいた。が、濃い睫毛まつげの重く成るまで、坊主の影はちかづいたのである。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
村「死ぬにはなんにも入らないからかんざし半纒はんてんみんな遣って仕舞います」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
叔母はお絹と長火鉢越しに、顔を見合せたらしかった。姉は上眼うわめを使いながら、かんざしまげの根をいていたが、やがてその手を火鉢へやると、
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と言うより身震みぶるいせしが、俯伏うつむけにゆらめく挿頭かんざし、真白きうなじ、手と手の間を抜けつ、くぐりつ、前髪ばらりとこぼれたるがけざまに倒れかかれる
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
経験が知識を生んで、今度このたびはいうべき事もかねて用意して、じれッたそうに挿頭かんざしで髪をきながら、漸くのおもい間隙すきを見附け
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
従者はいいつけ通り、後からそれをつけていって、人中で女の児の顔を切ってから逃げましたが、後十四年たってその男が高官にのぼったので、刺史をしていた人が娘をくれましたが、その女は綺麗でしたが、平生も眉間みけんかんざしをさげているので
女王はかねて花瓶の中に毒蛇を飼つて置き、金製の紡錘つむでつついて怒らせ噛ましたといひ、第三の説によると空洞うつろになつたかんざしの中に毒を入れて常に髪に挿して居て
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
清吉はお房が傍に寝転んで銀釵かんざしにお前そのよに酢ばかり飲んでを稽古する馬鹿騒ぎの中で、一了簡あり顔の政が木遣きやりを丸めたような声しながら、北に峨々ががたる青山せいざんをとおつなことを吐き出す勝手三昧ざんまい
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かつぽれに滑つて転倒ころび、手品てづまの太鼓を杯洗で鐵がたゝけば、清吉はお房が傍に寐転んで銀釵かんざしにお前其様そのよに酢ばかり飲んでを稽古する馬鹿騒ぎの中で、一了簡あり顔の政が木遣を丸めたやうな声しながら
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かたわらにある机を持って来て、其の上に乗って、欄間の障子の穴から覗こうと思ったが、障子に破れた穴もないので覗けないから、して居た銀脚ぎんあし簪揷かんざしで、障子の建合たてあわせを音もせずにっと簪揷をさしてねじると、障子が細く明きましたから、お蘭が内を差覗くと驚きました。
扮装なりは黒縮緬に変り裏の附きましたのに帯はございませんで、薄紅色ときいろのしごきを幾重にも巻附けまして、丸髷は根が抜けてがっくりと横になって、びんの髪も乱れて櫛簪揷かんざしも抜けて居てありませんで
花粉おしろい花簪児かんざしを売っている化粧品店がそのちかくにあった。そこには一人の老婆がいて店頭みせさきに腰をかけていた。世高はそこへ入って往った。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
老婆の施十娘は、文世高からもらった銀子をしまい、午飯をって、新しくできた花粉おしろいと珍しい花簪児かんざしを持って劉家へ往った。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彼奴が経験経験と経験で以て探偵すれば此方は理学的と論理的で探偵するワ、探偵が道楽で退校された己様だ無学の老耄おいぼれに負て堪る者か、彼奴め頭の傷を説明する事が出来んで頭挿かんざしで突たなどとくるしがりやがるぞ此方は一目見た時からチャアンと見抜てある所持品の無い訳も分って居るは、彼奴が博奕場と目を附たのも旨い事は旨いけどがナニ、博奕場の喧嘩に女が居る者か、成る程ソリャ数年前に縮れッ毛の女が居たかも知れぬ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
第一はアノ背中に在る刃物の傷ですが是はあやしむに足りません、大抵人殺は刃物が多いから先ず当前あたりまえの事と見逃して扨て不審儀ふしぎなのは脳天の傷です、医者は槌で叩いたと云いますし、谷間田は其前に頭挿かんざしでゞも突ただろうかと怪んで居ますが両方とも間違いです、何よりさきに丸く凹込めりこんで居る所に眼をとめねば成ません
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「アノネ貴君あなた、今日のお嬢さまのお服飾なりは、ほんとにお目に懸けたいようでしたヨ。まずネ、お下着が格子縞の黄八丈きはちじょうで、お上着はパッとした宜引縞いいしまの糸織で、おぐし何時いつものイボジリ捲きでしたがネ、お掻頭かんざし此間こないだ出雲屋いずもやからお取んなすったこんな」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そして、立ち際に財布を調べて、荷箱をも開けて見たが、財布の中の金に異状はなかつたが、荷物の中の、くし簪叉かんざしはすつかりさらはれて、空つぽになつてゐた。
(旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
白と絞りの牡丹を少しばかり浮かし、その上に飛ぶ金銀の蝶々を花簪かんざしに使う針金で浮かしてヒラヒラと動くようにして帯の唐草模様を絵刳えくみにした、錦絵とも舞台面ともまるで違った眼もまばゆい美しさの中に
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
暮山ぼざんの雲をながむれば、君が花釵かんざしかと心も憂く、閑窓かんそうの月にうそぶけば、玉顔ぎょくがんわれに笑み給うかと迷うも浅まし。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭插かんざしにお插しなさい。お前たち。
細腰さいようは風にめぐり、鳳簪かんざしは月光にかがやき、しばらくは、仲秋の天地、虫の音までが彼女の舞にその鳴りをひそめてしまった風情ふぜいだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)