龍耳りゅうじ)” の例文
龍耳りゅうじ老人の胸には何か、しかとした方寸ほうすんがたたみこまれているものと信じて、少しも行く先に危惧きぐを感じていないようであった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その矛盾むじゅんを乗りこえて、かれをここまで勇躍させてきた力は、幕府のためというよりも、剣山で龍耳りゅうじ老人に告白したとおり、恋、義理、涙
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第一、吉野川の上流平和な地域にそんな事件がかつてないせいもあったろうが、なにしろ、龍耳りゅうじ老人が出張でばってくるなんてまことに珍らしい。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それや龍耳りゅうじ老人は怖ろしいにきまっている。原士のおさはあの人だから治まっているといわれているくらいなものだ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
原士のおさ龍耳りゅうじ老人とおっしゃる方の飛耳張目ひじちょうもくに使われまする者で、永年の間、私のいいつけられていた役目は、関屋孫兵衛の頭巾を監視することでございました。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭巾をとけば禁教者とみなされ、月代さかやきをのばし笄を抜きすてれば、イサベラ様の臨終の枕元で、七家のしゅう立会たちあいで誓わせられたとおり、龍耳りゅうじ老人の暗殺の手が下ります。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)