黒人くろと)” の例文
おかみさんは黒人くろとの出の人だとかで、短気な、気に入りにくかたであつた。それへ大勢のお子たちがあつたりして、勤め辛かつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
そういった人中ひとなかの商売は黒人くろとのことですから、万事に抜け目がなく、たとえば売りめの銭などは、バラでなげうって置いてある。
先方は案外かけ出しの釣師にて、それに気づかざりしか、或は黒人くろとなりしかば、却て不釣合の獲物に驚歎せしか、いずれにしても、物に怖ぢざる盲蛇、危かりしことかなと思ひき。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
私たちの店は、毎年店を出す黒人くろとが半分池の上に丸太を渡しその上に板を並べ、自分の店を拵えてその余りを、私の父が借りました。場所がよくて、割合に安いが、実に危険です。