黄絹きぎぬ)” の例文
列のかしらは軍装したる国王、紅衣のマイニンゲン夫人をき、つづいて黄絹きぎぬ裾引衣すそひきごろもを召したる妃にならびしはマイニンゲンの公子なりき。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
こればかりは本式らしい金モールと緋房ひぶさを飾った紫緞子むらさきどんすの寝台が置いてあって、女王様のお寝間ねまじみた黄絹きぎぬ帷帳とばりが、やはり金モールと緋房ずくめの四角い天蓋てんがいから
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その影が鏡にうつつて、不思議に大勢に見えるので、己はなんだか物に魅せられたやうな心持がした。黒ん坊は絿ちゞれた毛の上に黄絹きぎぬの帽をかぶつてゐる。帽の上には鷺の羽がゆら/\と動いてゐる。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)