むつ)” の例文
あじむつの肉で、若鮎を釣るのを見たのも、小田原の山王川の上流であった。それは、明治の末年であったろう。
石亀のこと (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
むつの子のようなかたちの紫雲が、ひとつたなびいていたが、あとで考えあわせると、有難そうなのは見せかけだけで、それは妖雲といったたぐいのものだったらしい。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
全体ぜんてい此辺こけいら浜方はまかたが近いにしちゃア魚が少ねえ、鯛に比目魚ひらめめばるむつ、それでなけりゃア方頭魚あまでいと毎日の御馳走が極っているのに、料理かたがいろ/\して喰わせるのが上手だぜ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)