鬼灯ほゝづき)” の例文
旧字:鬼燈
海は赤い鬼灯ほゝづきや青い鬼灯で一杯になつてゐた。ボートやヨツトがその間を縫つて、櫓から銀色の雫をきらきらさせてゐた。
青い風 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
葭簀よしずを張りまわした軒並びに鬼灯ほゝづき提燈が下がつて、サイダーの瓶の硝子や掻きかけの氷の上にその灯の色をうつしてゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
打越金彌ののぼせあがつた口へ、毒を仕込んだ鬼灯ほゝづきを含ませ、はつと思ふ間もなく、娘の唇で男の唇を封じてしまつたことだらう、金彌の唇に口紅の附いて居たのはその爲だ。
鬼灯ほゝづきを口にふくみて鳴らすごと蛙はなくも夏の淺夜を
長塚節歌集:3 下 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「あ、これは鬼灯ほゝづきぢやありませんか、いよ/\以て變な男ですね」