駿遠すんえん)” の例文
そしてようよう、駿遠すんえん山境さんきょう踏破とうはしてきた。もとより旅人たびびともあまり通らぬ道、里数りすうはあまりはかどらない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、家康から質子ちしをとって、なぜ彼が駿遠すんえんへ領土をひろげてくるのを黙視していたか。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駿遠すんえん方面から本国へもどって来たものであることもいうまでもない。日ごろの健脚に一倍風をきッて行く様子から見ると、何かよほど急を要する情報でもたずさえているらしく思われる。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはこの近国の織田家おだけでも認めていた。三河の松平家まつだいらけでも、駿遠すんえんの今川でも知っていた。だから、土豪とはいえ、自然重きをなしていたし、蜂須賀党を土地から除こうとする者もなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)