首山堡しゅざんぽ)” の例文
「まだやってるんだろう。煙台で聞いたが、敵は遼陽の一里手前で一支ひとささえしているそうだ。なんでも首山堡しゅざんぽとか言った」
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
まだ私には、あの変ちきりんな泣き声が、耳に残っとりますが、あの狂人じみた泣き声は首山堡しゅざんぽで、自分がやられるまでは、わかりまっせんでしたたい
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
鞍山站あんざんてんから一押ひとおしと思った首山堡しゅざんぽが容易に取れない。第一軍も思ったように出ることができない。雨になるか風になるかわからぬうちに、また一日二日と過ぎた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
その頃でもちょっぴり残した薄いひげは、熊さんが、兵隊であった頃の記念であった。日清の戦役せんえきにも日露の戦役にも出征した勇士であって、片腕と足の負傷も、首山堡しゅざんぽの戦いに受けた負傷であった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)